薬指

優しいあなたが好き
でもキライ
薬指のリングを外して会ってくれる
でも日焼けしてないリング跡が見えてる
優しいから余計悲しい
優しいあなたが好き
優しいあなたがキライ



Embed from Getty Images
「あ〜雨だよ ママ」
朝起きてきた娘が私に言った
そして「また、ママが笑ってる」といつものように呆れてる
私は雨の日が好き
あなたが雨が好きだったから
「俺、雨の日は外に出たくなるんだよ…変かな?」
あなたはいつも学校の下駄箱の前で傘を片手に目をキラキラさせてた
それから何百回、何千回、雨の日があっただろう。
雨の日はあなたに会えるかも
そんな気持ちで幾千回の雨の日を過ごしてきた
「ママ…まだ笑ってる!」
少し怒って長靴を用意してる娘に、この笑顔の意味を言えるのは…
まだまだ先になりそう




すきじゃない

ワタシはあなたがスキじゃない
あなたはワタシをスキだと言う
もう一度ワタシはあなたがスキじゃないと言う
あなたはスキじゃなくていいと言う
あなたは嫌いじゃなければいつかスキになると言う
不機嫌なわたし
でもこんなやり取りはキライじゃない



ゆっくり

たまにはゆっくり食べなよ
あなたはそんなことを言う
あなたらしくない
涙が止まらない
手が震えてフォ―クでサラダが取れない
何も変わらない毎日
何も変わらない育児・家事
たまの外食もいつも幼い子達に食べさせて
私は最後に冷めた料理を素早く口に入れる
いつもあなたは携帯を見ながら料理を食べて色々話してる
母親だからしょうがないと言い聞かせ
これが幸せと言い聞かせ
それなのに今日は
あなたはハンバーグ定食を素早く食べてしまい
子どもたちを抱え食べさせている
そしてこの言葉
「たまにはゆっくり食べなよ」
「これ」でも「あれ」でも「それ」でもない

ワタシは幸せ



赤信号

赤信号が好き
黄色信号が見えたら早く赤になれって心の中でお願いする
あなたは赤信号が多いと「ブレーキ踏んでゴメンね」って謝るけど
謝らないで
赤信号を願ってるのは私
なぜって赤信号のたびに・・助手席の私を見てくれるから