アナタと別れて10年・・
ワタシとアナタは同じ苗字だった・・
ありふれてるけど好きな苗字だったから結婚しても変えたくないって話をしたら
「俺と結婚すれば解決だね!って・・
「俺と結婚しても苗字変わらないから同窓会に行っても独身だと思われるだろうな」って揶揄ってたね
そんな言葉が嬉しかった・・
本当はね・・
苗字なんてどうでもよかったの・・
苗字を変えたくないって言えば・・
結婚の話をしてくれるから・・
アナタと結婚したかったかウソついてたの・・
ワタシは・・苗字が変わりました・・
アナタといる時・・本当は苗字なんてどうでもよかったのに・
今は・・
やっぱり苗字は変えたくなかった・・
あなたと同じ苗字がよかった・・
そう思う日があるのはいけませんか?
秋空
駅
10年振りの訪れたあなたとの思い出の駅は様変わりしてた
昔はロッテリアとミスタードーナツと売店しかなかった駅が・・
駅ビルができて同じ駅とは思えない
ホームまで改札を過ぎて階段を下りて地下から3番線のホームに階段を上ってたね
「県庁所在地に駅がこれはダメだろう」って東京出身のあなたはいつも言ってた
わたしの家はその一番大きな駅から7駅先だった
いつもホームまで見送ってくれた
今は改札を抜けエスカレーターとエレベーターで2階のホームへ
高架工事で踏切もなくなり便利になったみたい
でも・・
あなたとの思い出の駅はもうない
風遠しが悪くて地下道は蒸し暑くて・・ホームもお世辞にも綺麗じゃなかった
でもその蒸し暑さや寂れたホームであなたと一諸にいたのは事実
面影がないのは駅だけじゃなくてあなたも
駅裏と言ってた南口は上野の森口ってお洒落な名前に
その上野の森口を出てあなたと行った美術館へ・・
背の高いあなたの手をしっかり握って丘の上にある美術館に行った思い出がよみがえる
今はわたしが娘の手をしっかり握ってる
駅が様変わりしてしまった方がよかったのかも・・
駅だけでも変わってたほうがあなたを思い出さなくていい・・
結婚してほしいって言うのはダメですか?
ありがとう
運動会
夏の終わり
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セミの声ももう聞こえない
長袖をしまってあったコローゼットから懐かしい写真を見つけた
あなたと花火をした写真
あなたはお気に入りのA・P・CのTシャツ
わたしはあなたにもらったハリランのTシャツ
日焼けしたあなたは白い歯がまぶしくて笑顔がまぶしい
あなたの大学は向ヶ丘遊園駅の近くで私の短大は都内
いつも新宿まで20分とか神奈川だけど都心に近いとか・・
だれもバカにしてないのにムキになって話してた
大学の近くに住むあなたにわたしが「そんなに気にするなら都心に住めば」と言うと・・
「都会は怖い 住むのは地元の大分に似た自然が多いところのほうがいい」と・・
よくわからないけど・・そんなところも好きだった
わたしは東京生まれで東京育ち 田舎がないわたしに田舎を熱く語ってくれた
テレビのチャンネルが3つしかないとか・・
「笑っていいとも」が夕方放送されてて全然お昼休みはウキウキウォッチングじゃないとか・・
山も海も綺麗とか・・
友達のエピソードとか・・
色々話してくれた・・
一度何でそんなに話してくれるの?と聞くと
「田舎や昔のことを思う時にいつもその場面にお前が出てこない・・」
「それが嫌だから俺の思い出や好きな地元の話を全部して・・この思い出は、この地元のことはあいつに話したなって」
「そうしたら思い出も田舎を思う度にお前が出てくる」
「そしていつかお前を友達に紹介して地元のいろんなところに連れて行きたい」
そんなまっすぐでやさしいあなたが好きだった
わたしはもう東京以外に住むことはないだろう
田舎を知らず
「お俺は田舎で就職する 俺と結婚したら東京が田舎になるよ」って言葉が嬉しかった
でもわたしはできなかった
田舎が欲しかったけどあなたと一諸になれなかった
窓から入る風が冷たい
着ることのないハリランのTシャツと写真をクローゼットの奥にしまい込んで・・
目黒駅で待ってる旦那を迎えに行くため車にの乗りこんだ・・