「就職」の二文字は私たちを引き裂いた

「学生」の2文字が二人を繋いでた
「就職」の2文字が二人を簡単に引き裂いた
あなたが通ってた大学は小高い山の上
向ヶ丘遊園駅を降りて線路沿いを歩いて・・
急な坂道を登りあなたが通ってた大学が
緑の看板が所々に・・
サークルの勧誘看板と学生運動的な看板が混在する奇妙な光景
楽しそうな学生を後目に大学のメインストリートを抜け、購買センターを曲がるとあなたが住んでたアパート
この光景が懐かしい
あなたと出会ったのは飲み会
あなたの通う大学とわたしが通う短大のメンバーの合コン
あなたはその中の一人
わたしもその中に一人
ただの人数合わせで来たわたしは合コンは正直苦手
無理やり盛り上げる雰囲気が疲れるから
親友からのお願いでしぶしぶ参加
合コンが始めるとやっぱり男性陣はテンション高い人ばかりで・・
でも・・一人無口な人が・・
そう・・それがあなただった・・
この人と話してたら疲れないと思って話しかけた
そしたら「ニコッ」って笑ってた
なんか「かわいい」が第一印象
大学のことや色々話し・・てくれた
九州出身で標準語がまだうまく話せないこと・・
無口じゃなくてお嬢様短大の相手で緊張してること・・
合コンに参加のメンバーは大学のサッカーサークルの同級生だということ・・・・
毎週意味もなく渋谷と代官山に一人で行っていること
両親と妹と仲がいいこと・・
そして・・
大学卒業した田舎で就職すること
だから・・
大学卒業したら離れ離れになるから・・
悲しませるから・・
東京で彼女はつくらないこと・・
その時は「変に真面目だな」ぐらいしか思わなかった
まさかその言葉がわたしの心にずっと残ることになるなんて
その合コンでカップル誕生
わたしとあなたじゃない
その時は・・
カップルはわたしの親友とあなたの友達
必伝的にわたしとあなたは鍋パーティーや飲み会に呼ばれて会う機会が増えた
正直これはしぶしぶじゃなかった
あなたに興味があったから・・
田舎のないわたし
親や兄弟ともそんなに仲がいいわけじゃないわたし
田舎を愛するあなた
親や妹を大切に思うあなたに興味が・・
そして笑顔と興奮するとでる九州弁が愛おしかったから
あなたも同じようにわたしに興味を持ってくれた
そしてわたしから告白
「大学卒業までの2年間だけでいい」
「卒業して東京に残ってなんか言わない」
「好きだから一諸にいて」
あなたは少し考えて
「最初出会った時、東京で彼女はつくらないと言った覚えてる?」
わたしがうなずくと
「大学に入学してずっと仲よくなった女性には言ってきた言葉なんだ」
「もし付き合っても大学卒業したら田舎で就職するからお別れしないといけない・・だから申し訳ないから
彼女はつくらなかった。でもおまえに出会って凄く苦しくなった。会う度に楽しくて、かわいくてずっと一諸にいたくて、俺が興奮してでた方言をケラケラ笑う姿が・・彼女になってほしいって強く思うようになった」
「でも大学卒業したら田舎に帰ることは変えられない・・」
「本当にそれでもいいの?」
わたしがうなずくとあなたは強く抱きしめてくれた
でも・・わたしは知ってた
あなたが少し震えてたの・・
その理由を知るのは2年後
長かった2年間
あっと言う間の2年間
その日からカウントダウンが始まってた
愛のスタートは・・
別れのカウントダウン
2年間は色んなところに行ったね
わたしは東京や横浜を案内して
あなたはあなたの田舎や福岡を案内してくれた
凄く楽しかった
始めて行く九州は本当に食べ物がおいしくて自然も綺麗で
そしてあなたが凄く楽しそうに案内してくれるのが嬉しかった
でも・・それが少し寂しい気持ちになったのも事実
そして2年が
ゴールのようなスタートのような
別れのような出会いのような
地元の会社に就職が決まってたあなた
わたしも東京の会社に・・
別れるともこのまま付き合うともお互い言わず・・いや言えず
そしてあなたが東京を離れる日
空港まで一諸に向かう車の中はいつも通り他愛のない話
搭乗手続きが済み
待合席に座る二人
わたしは機内で食べてってサンドウィッチを手渡す
あなたは「寒くない」ってわたしの手をずっと何回も握りかえしてた
「もうすぐ4月になるから寒くないよ」って心に中で思ったけど言わなかった
そして搭乗口が係員がきて次々に人が機内へ
でもあなたは席を立たない
わたしがなたが「行かないと」と言うと
「一諸に田舎に来てくれないか」
「すぐじゃなくてもいいから 一諸になりたいんだ」
少し涙ぐんでるあなた
「それはできないよ」
「約束だから」
「お互い今日からがスタート」
そうわたしが答えると一目をはばからず泣くあなた
「でもわたしがあなたを凄く愛してるのはわかってほしい」
そうわたしが言うと
あな涙を拭って機内入り口へ
そして振り向いて
「ありがとう!身体に気をつけろよ!愛してる!」って大きな声で
周りの人がジロジロ見てたけど涙でぼやけてよくわからなかった
それがあなたの最後の会話
風の便りであなたが決婚したことを聞いた
あの時あなたの言葉に応えなかったのは
あなたが優しから・・
あなたはわたしを想って言ってくれると思ってた
だから・・
すぐにでも一諸について行きたかったけど
わたしへの優しさじゃなくて・・
わたしのことが本当に好きで
来てほしいなら
もう一度連絡があると思ってた
あなたは本当に優しい人だから
でも連絡はなかった
待ってたと言うと重いだろうから
少し待ってた
でもわたしはあの日からスタートじゃなかった
月日は経ったけど時計は止まったまま
あの日がスタートだったあなたとは時間軸が違う
それが少し寂しくて・・
だからその時間軸を戻したくて
あなたとの思い出のあのアパートへ来たの
でもアパートやあなたと歩いた道に来てわかった・・
あの日あの時・・
最初に出会ったとき
あなたはわたし教えてくれてた
一諸になれないことを
それは忘れてたわたしは悪い
忘れてるふりをしてたわたしが悪い
もしかしたら・・って思ってたわたしが悪い
あなたは本当に優しい人