LOVE LETTER 思い出はポケットの中

槙原敬之「LOVE LETER」
あなたはこの曲が好きだった
そしてその歌詞のように
あなたには渡せなかった
あなたへの「LOVE LETER」
あなたは大学のサークルの先輩
二つ年下のわたしは青森から上京
大学の掲示板の前で声をかけてきた
サークルの勧誘
青森から出てきて初めて話したのがあなた
背が高くてどこか方言があって東京の人って感じじゃなかった
後で聞いたら九州出身
九州弁が抜けないって話してた
津軽弁が少しコンプレックスだったわたしに
「東北弁ってかわいいな!東北の人って本当に色白だね。俺色白な女に弱い」って初対面で言われた
なにかの縁と思いあなたがいるサークルへ
何をするわけでもないただの飲み会サークル
でも色々友達ができてよかった
最初の頃は「この子は東北から来て訛ってるけどバカにすんなよ!俺のお気に入りだからバカにしたら俺が許さんけんな」だって・・
九州の人の話し方は男らしい
そんなこんなで交際がスタート
1年が過ぎあなたは就職活動
あなたは地元に就職予定
実家が事業をしてるから関係会社に就職して修行
俺の地元に来て将来の社長夫人になるかって笑いながら言うあなた
悪くない
あなたと一諸なら
そんな気持ちなんて気づかない
就職が決まりあなたとわたしは離れ離れ
別れる話もなく続けていく話もなく
ただ時間が過ぎ
あなたが地元に帰れる日東京駅にサークル仲間と見送り
あなたの声とサークル仲間の声が砂利に吸い込まれて
電車が通るたびにとぎれとぎれに聞きなれたあなたの声が聞こえる
風通しの悪さと人の熱気で汗ばむわたしにハンカチを差し出すあなた
そしてこう言った
「卒業したらでいいから俺の地元に来てくれないか」
突然で返事ができなかった
あなたが乗る新幹線が出る時間
あなたは乗り込み一生懸命手を振ってた
そして新幹線はあなたが変える南に向かって走りだした
本当は手紙を渡すはずだったの
内容は
今すぐでもあなたが帰る街に行きたい
大学なんて辞めていい
あなたと一諸になれるなら
立派な社長夫人になるから
そんな内容の手紙をポケットの中に
あなたが好きだった曲みたいに渡しそびれないようにと
絶対渡そうと思ってたけど・・
渡せなかった
なぜかわからない
わたしは平凡なサラリーマンの妻
それなりに幸せ
社長夫人でもないし
九州に住んでない
東京でそれなりに暮らしてる
でも
あの時のLOVELETERは・・
まだポケットの中にしまったまま