3月9日
少しだけ暖かくなる3月初旬
暖かい風を感じると
この日が近ずくと
あなたとの思い出が
あなたと過ごした5年間
6回目の3月9日はひとりだった
それからもずっとひとり
ラジオから流れるレミオロメンの「3月9日」
この曲は切なくて
春の歌なのに
わたしには特別な曲
始めてこの曲を知ったのはあなたの車のカーステレオから
あなたが何度も好きだって言ってた
だからこの日は私たち二人にとって記念日でもなんでもないけど
ふたりの特別な日
一諸にいて食事して
なんでもない普通のデートでいいから一諸にいようってあなたは言ってた
そして
「この日に結婚式をあげよう」
「結婚しても毎年この日は必ずデートしよう」
いつもこの話をするあなた
わたしはその言葉が嬉しかった
本当に嬉しかった
本当にそれが叶うと思ってた
でも無理だった
あなたと過ごした5回目の3月9日
食事をしてドライブしてあの曲をふたりで聞いて
幸せな時間
そして11時を過ぎてわたしの家に送ってくれた時
急に真面目な顔でわたしを見つめて
「来年はデートもドライブできない」
わたしは驚いて
「なぜ?」
泣きそうなわたしに
あなたは・・
「来年の今日は決婚式の予定だから」
「ダメ?」
わたしは泣きながらあなたに何度も
「バカ」「バカ」って
笑いながら抱きしめてくれた
優しくそして強く
凄く幸せだった
ずっと抱きしめてくれると思った
あの日が最後だなんて思いもしなかった
そう・・
まさか・・
あの日わたしを送ってくれた後
10号線でカーブを曲がり切れず帰らぬ人に
何もかも失い
何もかも信じられなくなった
あなたが優しく抱きしめてくれた感触
あなたの声
あなたの香り
そして車から流れてたあの曲
何もかも覚えている
「思い出にしないと」
「前に進まないと」
そう思って必死に努力したけど
忘れられるように努力したけど
あの曲が流れてくると
あなたが好きだったあの曲が流れてくると
思い出にできなくなる
ダメなわたしを笑ってるかな
ダメなわたしは・・
相変わらず3月9日をあなたと過ごしてる
この先もずっと・・
だってあなたが決めた・・
約束だから