卒業式
それはわたしがあなたから卒業する日だった
でも卒業式にでることができなかった
わたしとあなたが出会ったのは高校2年生の春
最初は同じクラスで仲の良いグループにいただけ
でもその年の夏にあなたから告白されて付き合うように・・
お互いおっとりとした性格でケンカもなく楽しかった
でも一つだけ心配が
進学校に通う私たちは勉強が忙しい
デートはもっぱら図書館
地元の国立大学の医学部を目指すあなたと
東京の外国語大学を目指すわたし
卒業後は離れ離れ
俗にいう遠距離恋愛になるのはわかってた
それでもお互い目標に向かって励まし合ってた
そして高校3年の冬
いよいよ受験の時期にわたしが病気に
親は何の病気は教えてくれなかった
年明けの1月から入院
お医者さんからは受験は諦めたほうがいいと・・
落ち込むわたしの病室には毎日あなたはお見舞いに来てくれた
受験勉強が大変なのに優しいあなた
でもそんなあなたにわたしは酷いことを言ってしまった
病室でいつも通りお見舞いに来てたあなたと話してたとき
ふとあなたがこう言った
「病気で受験できなくて残念だけど俺はお前と4月以降も一諸にいれるから幸せだよ」
たぶん悪気があったわけじゃない
でも外語大を目指してたわたしはその言葉が許せなくて
「わたしの気持ちなんてわかってない!出ていって!もう別れて!」
そう言って謝るあなたを無視して外に追い出した
親や看護師には二度と病室に入れないようにお願いした
毎日毎日病院に来るあなただけどわたしは拒否した
先が見えない入院生活にイライラしてたのかも
あなたは無事地元の医大に合格
わたしは卒業式には一時退院して参加していいって先生から言われてた
だから卒業式に出てあなたにちゃんと謝るつもりだった
そしてずっと側にいてほしいって言うつもりだった
ごめんなさいって
でもできなかった
わたしの病状が急変して卒業式にはでれなくなった
昏睡状態が3日も続いて・・
なんとか回復したときは卒業式の二日後
わたしの高校生活は病室で終わった
あなたに謝ろうと思ってたのに
そして、あなたがわたしの病室に来ることはなかった
酷いことを言ったし酷いことをしたから自業自得
でもやっぱり寂しかった
親や友達にこの気持ちを伝えてもらうことはできたけど
先が見えない不安でできなかった
だから卒業式なら言えるような気がしてた
あなたに甘えて
卒業式は夢幻
あなたとの未来も幻に
今わたしは年に数回の入院をしながら生活してる
あなたは地元の県立病院に勤務してる
あなたが務める県立病院にも何回か入院したこともある
でもあなたと会うことはなかった
今からも会うことがないでしょう
結婚して幸せなあなた
わたしはあの卒業式にでることができなかってこと悔んで生きてる
本当に優しかったあなただから
わたしたちはもう会わないほうがいい
でも・・どこか寂しい時がある
わたしは卒業してないから
高校・・
そして
あなたからも